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コラム

vol. 1 製造部長インタビュー

池内比呂志 昭和52年入社、勤続37年 アナログ製版のエキスパート。
管理職でありながら、現在もDTPシステム課、品質管理課の実務にその手腕を発揮している。

池内部長は、“色を見るスキルが培われた人”というイメージがあります。
印刷物を見た時にどの辺りに重点を置いて見ますか。
「人がまずどこに目が行くかというのを考える。
お客さんは、どこをパッと見るか、ポイントを自分なりに考える」
例えば広告などで商品があって、その横にタレントやモデルなどの人物がいる場合、商品も大事ですが…。
「6:4 か 7:3 でタレントかも知れんね」
風景ものはどうですか。
「遠近感とか、一番ポイントになる部分の調子を見ます。
前、真ん中、後ろを平面的にどう表すかとか」
アミ%(*1)を読むのは難しいと思うのですが。
「ぼく以上の(年代の)人はみんなできる思うんやけどね」
(*1)アミ%
インキで塗りつぶす極小の点(網点)が占める面積率(密集度)のこと。印刷はこの率で色の濃淡を表現している。 
今現在そのスキルが役立つことはありますか。
「お客さんが本に付箋を貼って、ここは何%?とか聞いて来るような仕事がたまにあります」
職業病のようなクセはありますか。
「今時のすごい高画質のテレビを見てて、RGB(*2)なんやろうけど、 これ印刷物で出るかなとか考えてる。どんだけ近付くかなと。
あと、電車に乗ってて広告を見ると、思わず訂正紙を作ってしまう。
自分がお客さんやったらここを直したいなとか」
(*2)RGB
パソコン、テレビ、デジカメなどの色の表現法。印刷物はCMYKで表現されるが、RGBより表現できる色領域が狭いため、印刷できない色がある。 
朱書きを入れてしまう。
「そうそう。白い文字やのにバックの色が薄いなとか」
レタッチをされていたのが管理職に移ったわけですが、難しさはありますか。
「僕は性格的にやっぱり現役の仕事やってる方が自分では向いてるかなと思う。
今はコストを考えないといけないから。
技術者って、コストの事より、いいものを作ろうとする思いが強いと思うけど、 管理者となると、それだけではダメで、両方を天秤にかけないといけない。
もう一回(色を)見たいけど天秤にかけないといけない歯痒さがある」
その限られた中でいいものができると、嬉しいですよね。
管理者になると、制限付きのなかでどれだけいいものをあげるかという事になってきますね。
お気に入りの道具などはありますか。
「そうこだわりはないけど、仕事中は基本ルーペがそばにないと落ち着かない」
金属のやつが使いやすそうでかっこいいんですが、もう生産中止になってしまってますね。
「あれ、学会ルーペって言うらしいな。37年経って初めて名前聞いてんけど」
学会ルーペ
やっぱりルーペなんですね。
「やっぱルーペやな」
管理の話に戻りますが、対モノが対ヒトとなったわけですが。
「ぼくは管理ではあるけど(現役の)仕事半分、管理半分みたいな感じやから。
中堅の人らや若い人らと、そんなに差がないと思ってる」
近い関係を。
「うん。賛否両論あると思うんやけど、身近なところにいたいなと思う」
困った事があったときにどう乗り越えますか。
「僕の今の立場は駆け込み寺みたいなもんだと思う。
技術を自分で使う機会は今はあまりないけど、製版に関する知識はあるから。
困った時は、ふたつ方法を考える。ひとつでダメだったら、ダメだった部分と、残りのひとつを足して進めるという感じ」
私達を含め、次世代に期待することはありますか。
「難しいなあ。もう一歩踏み出して欲しいというのはある。
いつも冗談めかして言うんやけど、自分の力が8割で世間に通用するようになってほしい」
8割ですか。
「80%の力でやって、20%は訂正の分で残しとけって冗談で言う」
余力を残しておけと。
「余力を残して、80%で、世間で普通以上と認められるくらいの力をつけて、と思う。
その方が楽やから。でもそうするには、自分をその上に持って来ないといけない」
確かに同じ仕事でも、キャパいっぱいいっぱいでやるのと、広げたキャパで8割の力でやるのとでは違いますね。
他、期待というか、アドバイスはありますか。
「こういう不規則な仕事をしてると家族の理解が必要。
結婚してる人、彼氏彼女のいる人、いろんな周りにいる人の理解が必要だから、 プライベートの方も充実してないと仕事はうまい事いけへんと思う」
そうですね。“わかってくれるだろう” だけでは…。
「仕事に没頭できる条件を周りに作ってもらえてるいうんは大事やし。
仕事もプライベートもどっちも大事」
仕事を言い訳にするのも嫌ですね。
「今時はそういうのだいぶ減ったと思うけど、僕らの世代はそういう(家庭を二の次にしがちな)傾向があったから」
では最後になりますが、個人として、メインカラーとして誇れることは何かありますか。
「とりあえず、メインカラーとして誇れること。
うちの会社には、表立って『私はこの会社の仕事のこと全て何でもわかります』という人はいてないでしょ。 その代わり、部所部所のエキスパートがいてる。
その人達が、例えばハガキ一枚、ステッカー一枚の仕事でも、問題が起きたら自分の手を止めて気ぃ良く集まって来て、 自分らの知恵絞ってくれるってのがいいとこやと思う」
個人としてはどうですか。
「個人として…(困惑)」
謙虚ですね!
「うーーーん、誇れること言うたらアレやけど、
病気もせんと、入院もせんと、会社に迷惑かけんと来れたこと」
いや、すごい事です。長年勤めてこられて。だって勤続…
「うん、37年」
37年勤めてきて。来たくない時もあったんじゃないですか?
「それでも来とったんやろなあ、若いときはいろいろあったみたいやけど」
他人事みたい(笑)。今日はありがとうございました。

(2014年12月)

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